「ハイレゾ」とポータブルオーディオプレイヤーとFiio X1/3/5

突然だが、あなたは外で、ポータブルオーディオプレイヤー、いわゆるiPodとかウォークマンとか言われるやつ、あるいはスマホで音楽をきいたりするだろうか?
個人的な見解だが、これについては結構分かれる気がする。
およそ

  • 常に聴いている
  • 特定のタイミングで聴く
  • 持っているが大抵忘れる
  • 聴かないし、他の人が聴くのも不快だ

というところではなかろうか。
ここは、まあ音楽が好きで、できれば良い音で聴きたいという気持ちがある、という前提で話を進める。
外でもそのように聴きたいかは別の話だが、まぁポータブルオーディオを家で聴いてもいいわけだから、適宜想定してほしい。

ちなみに、私は寝ている時以外は(場合によっては寝ている時でさえ)常に音楽を聴いていたくらいだったが、突発性難聴になりやすくなり、またそこまでの音楽状態に入れないこともあって、最近はかなり減った。

ハイレゾとは

「ハイレゾ」という言葉を最近耳にする人は多いのではなかろうか。

元々は「ハイデフオーディオ」(ハイディフィニションオーディオ。HDオーディオ)と呼ばれていた。

CDのデジタルデータは44.1kHz/16bitのPCMオーディオである。これはサンプリングレート/量子化ビット数で表している。

サンプリングレートは波形の横軸(時間)、量子化ビット数は縦軸(振れ幅)をどれだけ微細にデータにするかだ。
音はあくまで振幅幅と振幅時間で決まるため、幅と時間しかデータとしてはない。
PCMオーディオは極めて単純に、それをビットマップにしたものになる。言ってみれば、波形を方眼紙に書き、線が通ったマスを埋めるという考え方だ。
サンプリングレートが高くなればマスの幅が小さく、量子化ビット数が増えればマスの高さが小さくなる。

振幅時間は音の高さである。
早く振幅すれば音が高くなる、というのは小学校の理科で習ったことだろう。
Hzは「1秒あたりの反復回数」を示す単位である。サンプリングレートのHzは1秒間にその回数点を打つということだが、音の波は行って戻って一回である。
そのため、サンプリングレート44.1kHzで表現可能な最大の音高は、22.05kHzである。

ただし、実際はちょうどサンプリングのタイミングで波の頂点が来るのでなければ22.05kHzはサンプリングできない。
少しでもずれていればナイキスト周波数によって音は低く見えてしまう。
20kHzがちゃんと聞き分けられる人は少ないが、この歪はわりと聞き取ることができ、それが音が悪く聴こえる原因でもある。
サンプリングレートが向上すれば、より高い音まで正確に表現できる。

ちなみに、44.1kHzという中途半端は、当時レコーディング・スタジオで広く使われていたSonyのデジタルテープ機材の仕様からきている。

一方、振幅幅は音の大きさである。大きく震えるものは音が大きいのも同様に理科で習う。
量子化ビット数が増加した場合、「大きな音が表現できる」というよりは、「音の大きさが細かく表現できる」。
大きい音は最終的にボリュームで同じにしててしまうのだから、小さい音まで繊細に表現できるのが大きい。

このCD音質を越えるサンプリングレート、量子化ビット数を持っているものを「ハイレゾオーディオ」と呼んでいる。
ただし、レコーディングで使われる48kHz/16bitはこの限りではない。これはJEITAがCDスペックを44.1-48kHzと定義しているため。

DSDについて

DSDというものを聴くこともあるかもしれない。

これはΔΣ変調を利用したものであり、PCMとは全く性質が異なる。

データ上はノイズまみれなのに素晴らしく良い音が得られる。
ただし、それはΔΣ変調を用いて復号化して音にできる場合のみであり、DSDの直接再生をサポートしていない場合は、一旦PCMに変換することになる。
この場合、DSDの「軽い」「音が良い」というメリットはなくなる。

そして、ΔΣ変調の原理上、一切の編集ができない。
どんなに音が良くても、このために一発録りしかできないのであり、ライブ音源以外ではまず使えない。
そして、ライブ音源をそこまで高音質にする必要があるかは、個人的には疑問だと思う。

最高の演奏家のプレイを、一発で録ったものを聴きたい人以外にはあまり意味がないかもしれない。

ちなみに、レコーディングをDSDでやると、高品位なPCMに変換しても劣化が少ない。
現在音楽制作で使われるPCMは192kHz/24bitがせいぜいだが、将来的にもっと高品位なPCMが使われるようになった場合に、
DSDのレコーディングデータがあれば、より高音質な音源を作ることができる、というメリットがある。
アナログ時代のものは、元のデータが劣化していくため、進化した後世の技術で高音質化することは極めて困難なのだ。

実際良いの?

意外とわかるものだ…というのが私の感想。
とはいえ、私がそもそも40kHzが確実に聴き分けられる耳を持っているので特殊な話にはなる。

とはいえ、可聴音域が20kHzだから、という主張は、もうちょっと理科を勉強すべきだと思うし、よくあるオカルトとは明らかに違う。
音を聴いてこれはどちらかと言われて当てられるほどではないが、聴き比べてどちらがよかったかはまぁ聴き分けられるのではないか、と思うレベルには違う。

そもそも、私は聴いた時かなり不安だった。聴き分けられないんじゃないか、いやどうせ無理だろう、恥ずかしいなぁ、と思っていた。
だが、あっさり分かったので、それくらいには違う。
別に、同じ楽曲で2つ聴き比べてどっちがハイレゾかを当てるブラインドテストならしてもいいというくらいに自信がある。

ちなみに、制作で高品位なデータが求められるのは、加工の過程でデータが損失しやすいからである。
特に、16bitでのヴォーカルレコーディングは簡単に0dBを越えてしまうため、なかなかしんどい。24bitではかなり余裕をもったセッティングが可能。

実際ハイレゾで聴くには

  • データがハイレゾである
  • データ的にハイレゾを取り扱える(ダウンコンバートせずに)
  • D/A装置がハイレゾを音声信号に変換できる(ダウンコンバートせずに)
  • オーディオ装置が20kHzを越える音域を損なわずに伝送・再生できる

が必要となる。
オーディオ装置側はちょっと微妙な話で、デジタル側と違って「ハイレゾ対応」なんて謳ってなくても再生できるものは再生できる。
実際、私が愛用するULTRASONEも、昔から40kHzを越える音域の再生に対応していたという。

ただ、音が出るのと綺麗に出るのは全く違うし、しかもスピーカー装置は歪が非常に大きいものなので、スピーカー装置によってハイレゾの音源を活かせるかどうかは大きく変わってくる。
近年の機材は進化が激しく、最新の良いものは高域まで綺麗にでるようになっている。そのため、近年作られた良いものであれば、ハイレゾの音源を活かすことができるだろう。

ただし、活かしきるためには、192kHzの音源ならば96kHzまで再生できなければならない。出ないことはないかもしれないが、クリーンに出せというと、かなり困難な要求になる。

なお、実際に音に関して影響を及ぼすのは、サンプリング周波数よりも量子化ビット数のほうだ。
実際、音楽制作では48kHz/24bitに関してはよく使うが、192kHz/16bit

ハイレゾ自体についての結論

人に押し付けたり、噂やデータに縛られず、気持よく聴ける音を聴きましょう。

ポータブルオーディオプレイヤーについて

Fiio Xシリーズはハイレゾに対応したプレイヤーだそうだ。
SonyのWALKMANはハイレゾに対応したものは10万円近くするので、かなりお手頃ということになる。

FiioはOYAIDE社のブランドだが、ポータブルヘッドフォンアンプ、USB DACもある。
こちらはポータブルオーディオプレーヤーで、多彩なファイルフォーマットに対応し(私が使用するOgg FLAC, Ogg Vorbis, MP3のいずれにも対応)、トップモデルのX5 2nd Generationに関しては量子化ビット数24bit、サンプリングレート192kHzまで対応し、DSDは2.8MHzと5.6MHzの両方に対応する。

大容量SDカードに対応し、X5 g2についてはスロットが2つあるために、128GB SDXC 2枚を搭載できる。
デジタルコアキシャル伝送に対応するあたりなかなか器用だ。

かなり魅力的ではあると思う。

では私はハイレゾにこだわるか?

いいえ。

制作においてはゆらぎが嫌なので、なるべく不確定要素を減らす意味でデジタルで、しかもかちっとした音でやっているが、リスニングになるとウォームなほうが良いと思うのだ。

むかしからあるようなアンプなど、ウォームでいい。真空管はやっぱりいい音がする。別に持とうとは思わないけれど。扱いが面倒だし。
アナログ側に音を良くする余地がいくらでもあるので、ソース側での変更というのは現状あまり費用や手間に対して効果が薄い、ということだ。

どちらかといえばこういう確実な変化があり、それが論理的に裏付けられるもののほうが好きではあるものの、だからといって優先するかと言われると…

何よりも、まず音源がない。
CDは44.1kHz/16bitだし、ハイレゾ環境で聴く音源がない。
しかも、私が聴くのはだいたいマイナーな音楽なので、余計にない。別にAKB48あたりをハイレゾで聴きたいとも思わないし。

また、しょぼい私のライブラリのCDのFLACだけでも149GBほどある。
PDAPは192kbpsのOgg Vorbisにしている(つまり音質を劣化させている)が、それでも32GBのSDカードだとおさまらない。
欲しいCDはいっぱいあるので、それも考えるとFLACですらPDAPに収めることは困難だ。
SDカードが尋常ならざる容量増加を見せない限りは、ハイレゾ音源を持ち歩こう…とはあまり思わない。
だいたい、そこまで集中して聴ける環境もないため、Oggでもあんまりわからないというのが正直なところ。家で聴いてる分には、両方のファイルが含まれるようにすると「んっ?」と思うので、Ogg VorbisとFLAC自体はわかるということになるのだが。

PDAPがハイレゾになるメリットはあまりない。どちらかというと、家でもPDAPで聴く、という人向けだろうか。
それならそれでありだとは思う。ただし、家のオーディオならオーディオ機器を据え置き前提の物にしたほうが確実に幸せになれる。
もちろん、それに対して3.5mmプラグで接続するんだ!というのならそれは止めないが。

X5に関しては、3300mAhという大容量バッテリーを搭載していながら、再生時間が10時間と短いことが痛い。1日に10時間以上聴く場合は普通にあるし、バッテリーで稼いでいるため、充電に時間がかかる。

また、私が要求するFMラジオ、ICレコーダーなどの機能はなく、純粋に音楽ファイルを再生するだけのプレイヤーである。本当に外出先でも音に猛烈にこだわる…という人なら価値はあるだろうが、私の価値観では、雑踏の中、歩行などによるノイズ(自分の身体の音が自分にきこえたり、聴覚をゆらしたりする)もあるし、そんなにいいヘッドフォンで聴いていられるわけでもないし、集中もできないという環境でそこまでの音を追求する気になれない。

個人的には音の質の問題よりも、COWON M2の「わかりやすい演出的な音の味付け」のほうがポータブルであるならば向いているように思う。
もし、音源の入手性が改善してハイレゾ音源が当たり前になり、ストレージ容量も極めて大きくなって全部詰め込んでも余裕があるという状態になれば、わざわざ劣った音で聴く必要もないし、ハイレゾなんかいらないと肩肘張る必要もないと思うのだが、現時点ではどうしてもというものではないと思う。
縁があるのであればハイレゾにすればいいし、特に最先端を行きたいわけでもなく、ハイレゾどっぷりでいくプランがあるのでもなければまだ整っていないかな、という印象だ。

また、「良い音」と「好い音」に隔たりがあることも踏まえて、自分にあった選び方をするのが、音楽で幸せになるポイントだと思う。

オーディオリスニング/制作環境をありあわせでパーフェクトに

私は、お金はないし、機材にも乏しく、部屋は狭くリスニングにもむかない。そんななかで工夫で音楽家としてやってきたし、継続しようとしている。

もちろん、こだわりのオーディオI/Oにモニタースピーカー、モニターヘッドフォンでラインにまでこだわれればすばらしいのだが、なかなかそうはいかないのが現実だ。そこで、これまでの使えるものをできるだけ再利用して、安くあげる、というのがごく基本的なこととなる。

今回、再利用の柱となったのが、Sony VAIO MX2だ。これは、2000年リリースのマルチメディアデスクトップPCで、Vortexオーディオボード、MDドライブ(!?)、FMチューナー、アンプを内臓し、前面にオーディオコンソールを持ち、専用フォームウェアによってオーディオモードでの起動が可能で、しかもリモコンもつく、というものだ。スピーカーとはスピーカーケーブル接続で、このスピーカーはなかなかいい音を鳴らす。ちなみに、サウンドボードはオーディオケーブル以外にもRCA out, Optical Out, Optical inを持つ。

これはあくまでリスニング用として活かすつもりだったのだが、改めてスピーカーをちゃんと鳴らすとかなり飾り気のない音がして、十分モニタースピーカーとして耐えるものだ。モニターとしての音は複雑な要件を持つが、私の場合基本的にはヘッドフォンで作りこむため、耳がつかれた時や聴こえの確認に利用するため、ないと困るし、ちゃんとモニターの音がしてくれなくてはいけないが、かといって特にこだわらねばならないこともない。

だったらこのスピーカーを再利用してしまえば場所もとらないし、安上がりだ。しかし、MX2はリスニングで使いたいし、そもそもスピーカーケーブル接続だ。そこで、スピーカー-RCAオスのケーブルと、RCAスイッチを使えば、2系統の入力がスピーカーに入るのではないか、と考えた。そして調べると、RCAとスピーカーのケーブルは存在していたが、RCAスイッチというと、AVスイッチ、つまり「3色ケーブルのスイッチ」になるようだ。

ちょっと信頼性に問題があるが、RCAケーブルと、RCAスイッチは据え置き型家庭用ゲーム機のものを再利用することにした。つまり、このコンポーネンツでは、単にRCA-スピーカーケーブルを買い足しただけに過ぎない。

なお、デスクトップPCからのオーディオはリサイクルショップで2000円で購入したNATIVE INSTRUMENTS AUDIO 4 DJだ。機能的には不十分だが、音は非常に良い。問題はMIC INがないという、簡単だがクリティカルな問題だけだ。あとは、24bit/96kHzなことか。

スイッチへは4DJ/VAIO共にRCAで出して入れ、スイッチからスピーカーがRCA-スピーカーケーブルの変換となる。これはビックカメラで購入した。

しかし実際にやってみると、スイッチでの減衰がかなり大きい上に、特にVAIOからの音はMAXにしても「ほとんど鳴らない」。VAIOのスピーカーはVAIO自身がアンプリファイアを持っているため、パッシヴスピーカーだ。どうもVAIOのRCA OUTはアンプにつながっていないのではないか、というところ。4DJにしても、直つなぎなら多少はきこえるが、それでもかなり小さく、スイッチを介しては実用にはほど遠い。

こうなると解決策は以下のいずれか。

  • スイッチでなくアンプを使う
  • パワードスピーカーを追加する
  • 諦める

そこで安い中古アンプを探したが、やはりパワードスピーカーが買えてしまう値段になるし、そもそも非常に大きくて重く困る。しかし、安いパワードスピーカーはやはり壊れるという事象がかなり多く見られる。

だいぶ手間取ってしまったが、今日SOUNDHOUSEに発注していたものが届き、その中に必要なものが含まれていた。

FOSTEX AP05 パーソナルアンプと、classic proのRCAメス/TRSミニSオスのアダプタだ。AP05は最近話題のもので、音は素直で良い、という評判で5000円。アダプタは100円だ。

このアンプは、単純にミニSでいれてスピーカーで出す、というものだ。どちらかというと、ミニSなポータブルオーディオなどの機器でスピーカーケーブル接続のスピーカーをならすもの、という感じがする。もちろん、これだけでは2系統をまとめられない。そこで、スイッチが再び登場する。4DJからはRCAで入り、VAIOからはアンプを介してパワーのある(音量を上げてはならない)スピーカーアウトをスピーカー-RCAでスイッチに入れる。スイッチのOUTはRCAで、このままではアンプにささらないので、アンプのin(ミニS)にアダプタを差すとアンプにRCAで入力できるようになる。これで、スイッチとアンプがRCAでつながる。

アンプのoutはスピーカーなので、スピーカーと問題なく接続可能だ。

試してみたが、バッチリだった。かなり苦労はしたが、考えてやったことで、うまく安くあげて場所もとらず、品質も十分なシステムをくむことができた。