アップグレードとその拒否

Windowsは最新のWindowsである、Windows 10のデビューが迫っている。 今回はMicrosoft社がWindows 7/8/8.1からのWindows 10への更新の無料パスを用意するなど、「Windows 10への更新」を望んでいることが伺える。

Windows 10への更新は、「用意ができ次第、順次バルーンヘルプによって通知される」。

用意ができ次第というのは、Windows 10がリリースされ次第という意味ではなく、アップグレードを許すフラグが立てられてからだ。 パッケージWindowsを利用している場合、おそらくはリリースされ次第告知される。 一方、メーカーから購入したプリインストールWindowsを使用している場合、メーカーが検証を完了し、Goサインを出した時に更新される。

この更新を確認・通知するための更新は、Windows 7がKB3065987、Windows 8/8.1はKB3065988として提供されている。この更新を適用すると、通常の更新にWindows 10へのアップグレードが含まれるようになる。 アップグレードを入手し、アップグレードを促すところまでは、半自動で行われる。

その拒否方法はAsk COREで紹介されている。

これを適用した後、その適用(つまりWindows 10になる)は手動でGoサインを出さなければ行われない。(Get Windows 10というソフトで行われる)。 しかし、これは「うっかり」やってしまう可能性は大いにあり、かつ将来的に強制される可能性もある。 現時点ではWindowsのパッケージまたはライセンス販売を優先することと、急速な移行を狙って期間限定であるとしている。ただし、MicrosoftがWindows 7/8/8.1への残留を望まない気持ちのほうが強くなれば、これを延長して強制することも考えられる。 現在は更新の強制よりもWindowsを販売することを優先しているようだ。

意図の推測

Windows 10はMicrosoftが「最後のWindows」だとしている。 事実上ローリングリリースとなり、常に最新のWindowsが保たれる。例えばWindows 7→Windows 8のような変更はそもそもなくなり、毎日少しずつ変化し、やがてWindows 8になっている、という感覚に近い。

このようにするのは、検証・サポートコストの低減のためだ。 複数の状態を維持していると、そのサポートにも検証にも、コストと時間がかかる。 特に古いものを現状に合わせるというのは非常に困難であり、もちろんコストもよりかかるため、新しいものを出すよりもずっと負担が大きい。場合によっては競争力を失う結果にもなる。 リソースが少ない場合は、最新版以外は面倒を見ない、とすればそれなりにの競争力と品質を保つことができるる

ここに近づけるためのWindows 10のローリングリリース化である。 将来的なオープンソース・ソフトウェア化に言及するなど、Microsoftがその企業規模を以ってしてもWindowsの開発、保守が破綻しそうなほどに膨らんでいることが伺える。

だが、Microsoftにはかなり迷いがあるようだ。 よりオープンで、誰もが使えるインフラにしようとしている一方で、その収益やモデルを変更することを拒否する姿勢も見える。 現在までを見る限り、その体制変更は「変化の兆し」として歓迎されてはいるものの、それ以外については全てが悪化していると見られている。

自由や公開が不十分であり、利益の確保と強権の行使が過剰である。 どの立場からも激しく批判されているのが現状だ。

実際にMicrosoftにとってWindowsは大きなビジネスだ。 Windowsの売上の割合は意外と小さく、Microsoftのクラウドシフトによりさらに小さくなっている。 だが、Windowsの販売不振が業績に響く程度には大きい。それを手放す勇気がないのだ。

さらにWindows 10はHome editionに関してはWindows Updateの調整ができなくなる。 常に強制ダウンロード、強制適用である。 この強制がシャットダウン時などユーザーを妨げることなく行われるという情報もない。現在の自動適用と同様に、作業中でも構わずダウンロードし、適用した上で突如として再起動される可能性が高い。

さらに、Windowsの開発体制の変更に伴い、「アップデートを適用すると軌道できなくなる」というトラブルの発生頻度が激増している状況下だ。 Windows 10になると、おそらくこの頻度はさらに増加すると見られる。Arch Linuxのようなローリングリリースディストリビューションで言うところの、TestingあるいはUnstable相当の体制であるため、その頻度は高止まりするだろう。

これを強制するというのは明らかに非常に問題がある。

Windows 10をライブアップグレードにしたのも問題だ。 更新が破損することは、Windowsでは「よくある」。 実際、私のThinkPad e440は、初期化してもアップデートに必ず失敗する。そのため、Windows 10が降ってきても更新できないし、そもそも降ってこない。

かなり迷走していると見られる。 そもそも、今回アップグレード/アップデートの延期機能があるのはエンタープライズユースのもののみで、一般ユースのものはそれらは「強制する」という。 これらの情報もしょっちゅう変わっているが、Windowsを安定したインフラとして使いたい層はかなり多いはずであり、動かなるリスクを冒してまで最新の機能を求める層はWindowsにおそらくそこまで多くはない。 その選択権を剥奪するのが妥当なことだとはとても思えない。

WindowsはパソコンOSのデファクトスタンダードとしての自覚と責任を求めたい。 面白く革新的であることが求められるのは挑戦者であり、基盤であり標準となるものであれば、常に安定して使えるものであるべきだ。 一部のユーザー、特定の使われ方のみに適合するOSは標準としてふさわしくない。 また、行政などがMicrosoft製品を強要する社会的状況も早急に改善してほしいと思う。

適切な対応は

Windows 10のカーネル上の変更点は大きく、周辺機器が動かなくなる可能性はかなり高い。 出たばかりのホットなデバイスであればおそらく近い将来Windows 10に対応するだろうが、旧型デバイスだと期待薄だ。 私が使用しているスキャナー、プリンターもおそらくはダメだろう。

さらにソフトウェアが動かない可能性も高い。 私の場合、仕事で使っているソフトウェアがアップグレードするのも結構しんどい、SONAR PRODUCER, KOMPLETE ULTIMATEがある。 完全に動かなければ、アップグレードには10万円程度は必要になる。 FL STUDIO SISGNATURE BANDLEはライフタイムアップグレードに救われるが、ドラゴンスピーチの対応も疑問。

このあたりを考えると、デスクトップは更新しないことになるだろう。 特に新しいソフトウェアを導入する予定もないため、Windows 7のサポート切れ(2020年1月14日)まではかなりあることから、そのまま維持することになる。 新しいソフトウェアが動作しないようであれば、システム全体のアップグレードを検討する。 音楽関連ソフトウェアは集中させるしかないため、Windowsの更新を行うのであれば、全体を上げるしかない。 その際に対応できないソフトウェアは切り捨てられることとなる。既にWindows 7でXG Worksは動かなくなっている。

比較的無難な対応としては、Windows 7/8/8.1でアップグレード前にディスククローニングしておき、Windows 10にアップグレードしてさらにディスククローニングする、という方法だろう。

グレード間の巻き戻しをライセンス的にMicrosoftが許容するのかがわからないが、これであればWindows 10で動作しなければWindows 7/8/8.1のクローンを用いて巻き戻し、Windows 10移行に適切な時期が来た時にはクローンを用いてWindows 10を書き戻すことで、無償期間後にもアップグレードすることができる。

Microsoftが煽るほどにはWindows 10へのアップグレードは勧められない。 プレビューでもかなりの不具合が報告されている。趣味ユーザーであれば試してみるのもいいかもしれないが。

もう少し言うのであれば、Windows 8/8.1ユーザーは無条件にアップグレードしても良い、という意見も見る。 一方、Windows 7ユーザーはアップグレードは控えたほうが良い、ということだ。

なお、サポートが終了しているWindows XPと、延長サポート終了が近いWindows Vistaは無償アップグレードから外されている。 Windows 10はWindows Vistaが余裕をもって動くコンピュータであれば性能的には動作する可能性が高いが、これはMicrosoftの経営上の判断だろう。

Windows 10 previewからもWindows 10にアップグレードすることができるが、これにはWindows 7/8/8.1のライセンスでアップグレード認証したものだけであり、Windows XP/Vista、非正規Windows、Windowsなしコンピュータからのアップグレードはできない。

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