まえがき

Ultra Classic, Libertouch, RealForce

私はついにRealForceを手に入れた。

キーボードマニアと化してから18年、それまで色々なキーボードを使ってきたし、RealForceも試したことはある。 だが、RealForceのふにゃ感が苦手で、これまでRealForceを使ってこなかった。

だが、最近はタイピングスタイルの変化によって軽めのキーボードがうまく使えるようになってきたので、RealForceがなかなか魅力的な選択に思えてついに購入した。

基本的にはメカニカルキーボードは高級キーボードの代名詞だけれども、同じスイッチを使っているものでも6000円台からあるメカニカルキーボードは2万円程度はするRealForceと比べるとグレードが違うようにも感じられる。 RealForceが最高級キーボードと呼ばれることもわかるように、さらに一段上とみなされるのが一般的なようだ。

RealForceと、同様にラバーコーン+コニカルコイルスプリング+静電容量無接点方式のHHKBのどちらが最高峰か、というのは宗教戦争になってしまうが、とりあえずRealForceは最高峰キーボードとして有名という点では異論はないだろう。

そして、これに類似の機構を持つ、有名ではないが同クラスに属するふたつのキーボード。 Libertouchはメンブレンスイッチのキーボードながらふたつのアクチュエータを持ち、RealForceの対抗馬としては割と知られている。

Unicompのキーボードは古のバックリングスプリング機構を利用したメンブレンスイッチのキーボードである。 RealForce, Libertouchに共通するラバーを潰すという構造自体が存在しておらず、よりニッチなものだが唯一無二のキーボードとして知られている。

なお、Cherry MXメカニカルキーボードであれば青・黒・茶・緑・ダークグレーの軸を使うし、ALPSの経験も2種類ほどあるし、Cherry MX互換キースイッチの製品も数種類持っているし、独自キースイッチのEdge 201も使っているし、パンタグラフキーボードとしては高級品になるThinkPadキーボード(USB接続の単体)も使っている。さらにいえばメンブレンキーボードも安いのから高いのまで色々使っているし、パンタグラフキーボードも他にも持っているし、ショートストロークタイプのものも色々持っている。 なので、別に他のキーボードを知らずに語っているわけではない。だってマニアだから。

「指の力」「押す力」「叩く力」

キーボードのタイピングにおいては節題の3つの力が大きく関係する。

指の力というのは指を外圧に負けず一定の状態でぐらつかないようにしようという力で、握力に関係する。 ピアノ演奏では特に重要となり、この力を抜いた状態でのピアノ演奏は突き指の原因になる。

指の力が弱い状態では外圧に負けて指が逃げてしまうため、急激に荷重を失うことになる。 急激に荷重の立ち上がるタイプの場合、指に力を入れておくことが必要となる。タクタイル感が強い場合は特に押しきる必要があるため、指の力が必要となる。

押す力は、キーから離れた状態から開始した場合は手首または腕によって、キーについた状態からであれば主に指の根本の関節によって発生する。位置的により下方へと移動させようとするエネルギーである。 このエネルギーは継続的に発生するためキー荷重による減衰はあまり関係なく、それは感覚的な重さとして感じられる。キー荷重が一定であれば一定の力で押す続けることができる。

叩く力は移動によって発生するエネルギーであり、キーに接した状態でタイピングする場合は発生しない。 キー荷重によって減衰する。キーを押す力に対して補助的に作用し、キーの重さはキー荷重からこの叩く力が担った分を引いたもみのに感じられる。 指を高く上げるタイピングをする人ほど強く、また体から低い位置にキーボードがあるほど強くなる。

今回RealForceを買うに至るまでには私のタイピングスタイルの変化が理由として大きい。

私はもともとかな打ちということもあって、非常にキーを叩くタイプだった。 指を高くあげるため押すと言うよりは指を勢いよく落とすことでキーを押す。このとき力が逃げないように指にはしっかり力をいれた状態だ。 単純に押すのと比べ加減が難しく、荷重に関してはかなり難しい。足りなければスイッチが入らないし、すぎれば押す力はないためキーに押されてしまいとても重く感じる。 また、勢いがついているため、反発が強いないと指を離すのが遅れてしまう。

ただ、最近はショートなラップトップキーボードにも慣れてきたし、疲れを減らすためリストレストに完全に手を付けたままタイピングするように心がけているため、以前と比べ大幅に勢いが減っている。 今でも押すというよりは叩くタイピングをしているのだが、押す割合が高くなった。叩く度合いが減ったのは以前ほど高速打鍵を重視しなくなったというのもある。

また、最近発見した後継姿勢は指が寝るので叩きにくい。かなり軽くて最初は戸惑ったLibertouchでも重く感じてしまうのだ。 このため、軽く、タクタイル感の曖昧なキーボードが欲しくなったのだ。

タイピングのニーズ違い

どうしても最もキーボードを重視するのはプログラマであるという認識があるけれど、実際のところそうでもない。

プログラミングというのはかなり頭を使う、思考コストの高い行為なのでものすごい文量を書くというわけではないのだ。 正直なところ、手打ちで1日5000文字生産できるプログラマは相当に速筆なほうだと思う。

だから、連続で長時間文字を打ち続けるということは基本的にない。 だが、ぱっと思いついたときに高速打鍵できること、思考を妨げないようにミスタイプが少ないこと、なるべく手の移動量少なくタイピングやカーソル操作などが可能なことが求められる。 正確性と瞬発力、そしてコンパクトであることだ。

文筆だって思考コストは高いが、それでもバリバリ書けば10000文字はかける。 その気になれば30000文字ぐらいは書けるし、もっと書くこともないではない。 文筆の場合は継続的な速度が重視される。量自体も多いため、速く打てて指への負担が少ないことが重要だ。

事務系処理も条件によっては相当な文字数を打つ。 速度が重要な場合もあるが、正確性と一定のリズムで打てる打ちやすさが重視されやすい。 打つ量が少なくなるにつれて比較的重いアクチュエータを使うキーボードが好まれる。

実のところ最大文字数を打つのはチャットだろうと思う。今はそこまでマッシヴにチャットすることはまずないかもしれないが。 チャットでは急いでいる分ミスが発生しやすく、速度と正確性が求められる。 実際は負担も少ないほうがいいのだが、そこはあまり重視されない気がする。恐らくチャットの場合相手の発言を待っている間休まるために連続性に乏しいためだろう。

ゲーマーは非常に特殊な要求をする。精度の高いオンオフや、高速な連打などだ。 私はゲームをほんどしないので、これについて語る能力を持っていない。 ただ、今回の3機種のどれがゲームに適しているかは即座に答えることができる。なぜならばUnicompキーボードはUSB 1.1接続であり、Libertouchはキーロールオーバーに対応していないからだ。つまり、この2台はゲームはまともにできないのである。

キーボードの紹介

RealForce

非常に有名な最高級キーボード。2万円からとなかなかお高い。 有名なだけあって高級感もあり、物書きにファンが多く、ゲーマーでも愛用者が結構いる。

RealForceの内部はいくつかに分割されたコーンをもつラバーシートがあり、そのコーンの内部にコニカルコイルスプリングが入っている。

3つのキーボードの中では最も一般的なメンブレンキーボードに近い構造で、一般的なメンブレンキーボードの間にスプリングをはさんだような構造をしている。

今回テストするのはALL 45g, 非静音, APCなし(2.2mm), テンキーなし, 日本語配列, 標準キートップの新型R2モデルである。

Libertouch

RealForceと同じ値段、同じ構成の「メンブレンキーボード」ということで知らない人が知ると馬鹿にするが知っている人にとっては至高の製品として知られる最高級メンブレンキーボード。旧製品は最終的には12800円くらいまで値下がりして売られていたが、現行製品は28000円くらいする。お値段的にもRealForceとタメを張る。

キーボードにはこだわりのある富士通コンポーネントのフラッグシップであり、物書き、特に小説家にとっての最終兵器と呼べるような扱いを受けている。 見た目がRealForceのように華やかではなく事務機器然としていることもそれはそれで人気の秘密であり、「文章を書く道具」としての風格・人気はRealForceにも劣らない。 一方、物書き以外にはあまり人気のないキーボードでもある。

Libertouchの内部はスライダーの外側にラバーシリンダーがはまっていて、スライダーの内側にスプリングが入っている。 どちらも純粋なアクチュエータであり、スイッチとしては機能しない。プラスチック部品がラバードームをもつ持たない2枚重ねのラバーシートに接触することでスイッチが入るメンブレンスイッチである。

比較として使用するのは旧バージョンでアクチュエーション荷重は45g(復活した現行型は35gが標準)。

(Unicomp) Cltra Classic

UnicompキーボードはIBMの古いキーボードからそのテクノロジーを受け継ぐ、現代の化石。 現在新品で買えるバックリングスプリングキーボードはUnicomp製品しかなく、このUnicomp製品も古い金型を使って製造しつづけているという、ウラルかワズかといいたくなるような代物である。

ダイアテックの要望により作られている日本語キーボードも製造はガタガタのキートップやキーボードで、バリもあり、見た目も色も大変に古臭い。 もちろん、それがいい、という人もいるのだが、実際のところキーボードとしての作りは現代の製品には劣る。 だが、キースイッチが唯一無二であり、これを求めるこだわりあるファンも多い。

存在自体がマニアックなこともあり、ユーザーはエンジニアやギークが多い。 お値段は16800円。タイプライターに例えられることも多いカチンとしたフィーリングとバネ反響音が特徴的。

Unicompのキーボードはいずれも台座とキートップの間にスプリングがあり、これが唯一のアクチュエータとなっている。

座屈バネ構造は意外と単純で、バネが押し込まれてグキッと曲がったときにシーソーがぱこんとなって接触しメンブレンスイッチが入るようになっている。詳細は鍵人というサイト上で読むことができる 行きはタクタイル感が強く、戻りはリニアに近い荷重特性が特徴的。

本当にUnicompのものかは怪しいが、出回っているグラフによれば5571-A03などに近い70gがアクチュエーション荷重のようだ。 実際、ほかの2機種と比べるとちょっと重い。55gかせいぜい60g程度に感じるが。

荷重に関していえば、初期は結構重いのだが、タイピングを重ねているとだいぶ軽くなる。 何ヶ月か使い続けると45gのキーボードと比べてもいくらか重い程度になる。

キーボードの比較

段階的に違うフィーリング

RealForceは「ふわふわ」というフィーリング。 好きな人はこの表現、あまり好まないのだが、実際ふにゃんとした感じがして、そのために静電容量無接点方式はなんか浮いてる感じの構造だと思っている人も少なくない。あえて擬音表現するなら「にゅん、にゅん」という感じ。

Libertouchは「ふわっ」と押し始めて「かたっ」と入る。 入力し始めがリニアでそれなりのストロークがあり、抵抗があるところからそこで止められる感覚もないままかたんとポイントを越える感じで、擬音表現するなら「ふぁたん、ふぁたん」という感じ。 RealForceよりもずっとはっきりカタカタする。

Ultra Classicはほとんどストロークしないまま荷重が立ち上がる。 このエリアは非常に狭いため、「ここが重いエリア」といったりきたりするのは難しく、止まるか押しきるかである。 そして押した瞬間にバネがおれるカクンという感触とカチョンという反響音がする。 擬音表現するならば「かっちょん、かっちょん」という感じ。

RealForceはタクタイル感を感じられる範囲が広く、指でじんわり押すとタクタイル感を感じなくなってしまう。 叩くスタイルだとスイッチを入れる感触がなく、かといって反発によって押し返される感覚がないため相性はだいぶ悪い。 そのかわり、指に力がいらない。ものすごく脱力した状態でタイピングできる。 だから激しくタイピングするよりも高さを押さえて指作で「こくこくこくこくこく」と打つのが速い。

Libertouchは自然だ。メンブレンを基準にした自然ではなく、ボタンを押す感覚としてとても自然だ。 タイピングにおける自然さをこれ以上には表現できないのではないかと思ってしまうし、「タイピングに限らない心地よさを」というキャッチフレーズは、そのまんまであり大成功だといっていい。 叩くのも押すのも簡単。どうタイピングしても速いし疲れにくい。癖がなく完璧なキーボードだ。 この癖のなさがついついつまらなく感じて「今日は他のキーボード使おうかな」と思ってしまうこともあるのだが、すぐ疲れてLibertouchに戻ってきてしまう。 それだけいいキーボードなのだが、やっぱり面白みがなくてモチベーションには繋がりにくい。

Ultra Classicはとても気持ちいい。明確なスイッチを押している感じ、かちゃこんかちゃこんというフィーリングと音はなんともタイピングしている気分を押している盛り上げてくれる。 無意味にICQに採用されていたタイプライターサウンドを再生してみたくなる気持ちもわかろうというもの。やはりタイピングには気分を盛り上げる「打ってる感」も重要なのだ。

非常にクリッキーである上に重いので「高速打鍵には向かない」なんていう人も多いのだが、実際のところUltra Classicは相当に高速打鍵が可能なキーボードである。少なくとも青軸の比ではない。 ただし、私の記録の上では

  1. Edge 201 (80WPM/460KS程度)
  2. BLACK PAWN Cherry MX リニアグレー (76WPM/440KS程度)
  3. Libertouch (72WPM/400KS程度)
  4. RealForce R2 (68WPM/380KS程度)
  5. ThinkPad Keyboard (68WPM/360KS程度)
  6. Ultra Classic (66WPM/340KS程度)

あたりがそのキーボードでの平均記録なので、遅い。だが、それでも速い方である。 確実な打鍵ができるので、打鍵位置を見せる見失いやすい複写作業をしているときはLibertouchよりもUltra Classicのほうが速い。

ちょっと勘違いされやすいのだが、Ultra Classicは決して「重い」わけでも、「青軸以上にクリッキー」なわけでもない。

私は本当に重いキーボード(Edge201 55g, Cherry MX 緑軸 80cN, Cherry MX リニアグレー軸 80cN/165cN)も使うけれど、そういう感触はなく、Ultra Classicは黒軸(45cN/60cN)よりも軽く感じる。 また、明確なクリック感があっても青軸や緑軸のように「止められる」感じはなく、感触としては「茶軸をくっきりさせて重くした感じ」に近い。 その動きはメカニカルスイッチよりもスムーズで音の重さの割にはキーは軽やか。 ただし、音はメカニカルキーボードのような軽快なものではなく非常に重厚である。

メンブレン感は一番あるRealForce, 異質なUltra Classic

安いメンブレンキーボードは抵抗感の薄いストロークのあとむにゅんという曖昧なタクタイル感があるためにぐにょぐにょして感じるのだが、 タクタイル感がはっきりしないあたりを含めてこの感覚はRealForceが近い。 あのむにゅむにゅした感覚が嫌いな人は結構いるので、実際に知らない人にRealForceを試させると結構な割合で感覚が嫌だと言われる。

しかしRealForceの場合はその特性変化をスプリングが補っているため、唐突で無軌道な変化を感じない。 その変化全体がなめらかにつながっているような変化をする。だらか感触は似ているけれど中身はまるで違う。

一方、メンブレンキーボードでも固めのドームを使っていたりするとかくんかくんと入るタイプのものもある。 こちらを思いっきり上質化させたような感覚があるのがLibertouchだ。

Ultra Classicの感覚は全然違う。もうほかに例えようがない。 一番近いのはクリックタクタイルのメカニカルスイッチだけれど、これとも全然違う。 しかしメカニカルキーボードはどのタイプでも「自然」には遠い独特の感覚なのだが、それと比べれば自然な「押すもの」感がある。

一番近いのはNEC MATE付属のキーボードだと思う。 あれの「ぽこっ」てなるのを「かちっ」てなるフィーリングに変えて、上下にちゃんとスムーズな荷重変化を加えて、擦れ感をなくしたらUltra Classic。いや、そこまで変わったら何も残っていないような気がしないでもないけれども。

また、タクタイル系スイッチのメカニカルキーボードは軽快な分安っぽいと感じてしまうような動きを見せる(特にCherry軸は)が、Ultra Classicはより重厚で高級感がある。 メカニカルスイッチでもALPS製のものはもっとがしっとしたスムーズな動き(擦れ感も少なく、手応えもわかりやすい)をするのだが、残念ながらALPSスイッチのメカニカルキーボードは(というかALPSのキースイッチそのものが)新品では手に入らない。ALPSのスイッチはよかった、という人も少なくないので(舶来指向なのか、Majestouchが流行り始めた頃はALPSよりCherryなんて言っていた人もいたけれど)惜しまれる。

だが、個人的にはUltra ClassicがあればALPS軸を惜しまなくて済む。個人的にはCherry軸ってそんなに好きじゃない(軽々しいと思う)のだが、「タクタイル感があって上質なフィーリングのキーボードが…」という老人の愚痴を、Ultra Classicがあれば言わずに済む。 バックリングスプリングキーボードなんてALPS軸と変わらないレベルの骨董品なので、入手できなければ同じようなノスタル爺になってしまうのだが、新品で入手できる。幸せなことだ。

なお、Ultra Classicはしばらく使わないと真の動きを見せてくれない。

速度はRealForce、だが実際はLibertouch

最高速度だけ見れば一番速いのはRealForceである。

だが、実際のところRealForceで高速打鍵するのは結構難しかった。理由は、指を使っていたり動かすタイプの私だと誤打率が高すぎるからだ(ワードあたりの正確性は85-88%ほどでしかなかった)。 全てのキーボードの中で最も高い正確性が出せるのはLibertouch(ワードあたり96%以上)で、結構なスピードで淡々と打てるため、生産力はLibertouchが最も高い。

ただし、これは比較の問題だとも言える。 なぜならば「淡々と(誤打しない範囲で)打ち続ける」ということに関してはRealForceとLibertouchは圧倒的であり、アベレージはこの2台が飛び抜けて速い。Thinkpad KeyboardをはさんでUltra Classicが4番目のアベレージスピードになる。

淡々と打った時の速度にしてしまうと、RealForceとLibertouchで差を感じない。 がーっと打とうとしたときにはRealForceのほうがキーを叩くのは速くなるのだが、と同時に誤打率も上がってしまうので、トータルの生産性ではペースアップできるLibertouchに分があると感じた。 しかし、この程度の差では使い手との相性次第だろう。ミスが増えない叩き方をしているのなら、RealForceのほうがずっと速く叩けると思う。

疲れが少ないRealForce、テンション高すぎて疲れるUltra Classic

Libertouchもかなり疲れの少ないキーボードだが、RealForceはさらに疲れが少ない。 腱鞘炎予防にと言うだけのことはあると思う。

LibertouchもRealForceも35/30gも悪くないのだけどさすがに軽すぎて誤打率が上がってしまう。 正確な打鍵を得意としている人なら特にRealForceは30gでいくのがいいかもしれない。

疲れという意味ではUltra Classicは本当に疲れる。 キーが重いのもあるけれど、音が激しいので盛り上がり方が激しく、それに応じて消耗してしまう。

もっともキーの重さ自体は青軸や茶軸と比べて重いのはあれど、黒軸よりは軽く感じるしそれ自体での疲労はそこまででもない。 ただ、やや指の力がいる。指を寝かせてタイプすると重く感じてしまうだろう。私はオルガンを弾くので常に指を立ててタイプするし、それなりに指に力が入った状態でタイプするからそれほど気にならないのだが、ネタせてタイプする癖のある人にはややしんどい。 さらに反発は強いため、これに合わせて指を上げられないと疲労につながる。

Ultra Classicが疲れる最大の理由はテンションの高いそのフィーリングと音にあり、精神的な部分が大きい。 また、LibertouchとRealForceが非常に消耗しにくい軽快なフィーリングであるのと比べると、メカニカルキーボード類と比べれば疲れにくいとも言える。あくまで比較対象があまりにも疲労しにくいだけだ、とも考えられるし、逆にメカニカルキーボードも比較対象にすれば疲労が少ないキーボードだということもできる。

利便性はRealForce

RealForceはメディアキーあり、Libertouchはメディアキーなし、Ultra Classicは106キーボードなのでWinキーすらない。

気にするかどうかは人によるだろうが、私はメディアキーもかなり使うのでRealForceが最も使いやすい。

キートップはLibertouch

Ultra Classicのキートップは細く、面積が小さい。 このため最も打ちにくい。

RealForceも悪くないのだが、(黒だけかもしれないが)表面にざらざらとした加工がされている。 好みにもよるだろうが、私は指が感想しているような、あるいは汚れているような感覚がしてしまい、好きになれない。 もっとも、打ち続けていたらなんかマシになったような気がしないでもないので、そのうち気にならなくなるかもしれない。

RealForceにはハイプロモデルも試したことがあり、有力に見ていたのだが、指が深くはまりすぎて動かしにくかった。

相対的にはLibertouchが最もよいように感じる。 ただし、Libertouchも最高というわけではない。キートップに限った話をするのであればCENTURYのメカニカルキーボードのもの(BLACKシリーズのもの)が最もよいと思う。

Libertouchのキートップにはそれほど不満はないが、ほか2つに関してはよいキートップだとは思えない。 どのキーボードにもCENTURYのキートップを移植したいと思えて仕方ない。

Ultra Classicの音はなかなかやばい。 夜に使うのはかなりためらわれる。

Libertouchは私が持っている中ではかなり静かな方なのだが、バネの反響音がするため、通話中にはこの反響音がカンカンと響いてかなりうるさいらしい。

RealForceは静音モデルではないのだが、かなり静か。

果たして推しキーボードは

みんな違ってみんな良い。

いや、それぞれキャラクターが大きく違うので、どれがいいというのはすごく難しいのだ。 どれもそれぞれに素晴らしい。

ただ、常時ものすごくキーボードをうちまくる人の場合、Ultra Classic一本でいくのは難しい。 結構しんどいのと、一日中打っていると手が疲れてしまうのと、なにより結構気持ちが攻めていないと気持ち負けしてしまってひどく疲弊してしまう。 もっとも、そこまで常に打っているわけでもなければUltra Classicだけでもいいかもしれないが。

エンジニアにはUltra Classicはかなりいいと思うのだが、音がうるさいので会社ではちょっと使えない。

RealForceとLibertouchは「かなり似ているが明確に違う」のでどちらがいいか大変悩ましい。 どちらを勧めるかと聞かれればLibertouchなのだけど、どのみちこのふたつはヨドバシカメラで試せたりするから試して決めるのが一番だと思う。 RealForceが好みならRealForceのほうが無難だし、RealForceは結構くせがあるのでより万人向けなのはLibertouch。

と言いたいところなのだが、ちょっとそうもいかなくなってしまった。というのは、Libertouchが新型になって35gというこれはこれで癖のある仕様になってしまった。 確かに軽いのだが、35gにするとさすがに軽く触れただけでも反応してしまうため誤打率が上がってしまうのがひとつ。そして、そもそもLibertouchはこぷこぷしたクリック感が魅力なのだが、35gはリニアに近い感触になる。Libertouchの35gが魅力的かと聞かれるとちょっと…という感じである。 なので、45gは結局最良という感じだったのだが、今の状態では45gのシリンダーが販売されておらず、さらにLibertouchは従来の1万円台半ばという価格設定から3万円近くになってしまったため、「Libertouchがおすすめ!」とはちょっと言いづらくなってしまった。

私は多分、Libertouch(これは45gの旧モデル)とRealForceを中心に使っていくと思う。 今回比べた3つのキーボードはいずれもタイピングがたまらなく楽しくなるキーボードだ。

実際のところ今後はRealForceが中心になる可能性が高い気がする。 理由はやはりタイピングスタイルの変化に合わせてLibertouchで不十分と感じたからRealForceを加えたので、今の打ち方に合っているのはRealForceということだ。 どちらも一日中だらだら打っていられる素晴らしいキーボードだが、力を抜いて後傾して打っていられるのはRealForceだ。 ただ、RealForceとLibertouchのどっちがいいかは、どちらも打ち方を合わせられるようになった今となってはその日のモードの違いでしかないので、実際私はどちらがいいとかではなく使い分けることになると思う。 ちなみに、RealForceはテンキーなしなのだけど、これは私が後継スタイルに合わせたデスクがないので、脚の上において打ちたいという都合もあり、今回RealForceを買った理由のひとつである。

さすがにこの3つを揃えるのはマニアすぎると思うのだけど(だいたい、これを揃えるだけで7万円くらいするのだから)、これを使ったことがないなんて人生損しているような気がしなくもないので難しいところだ。(それをいうならメカニカル各種もそうだけど)

使い分けないにしても、とりあえずRealForceを有力と考えた上でLibertouchを試してどちらが好みか見極めればいいし、 Ultra Classicは試せないだろうけれども、とりあえず青軸あたりを試して「こういうカチカチは好きだけど、こんな軽々しいのじゃなくてがっちりした感じのが欲しいな」と思ったらぴったりの可能性がある。 あと、青軸を使ってみて戻りが遅い、反発が弱いと感じた場合もだ。

Ultra Classicもまた私にとってはなくてはならないキーボードなのだ。 この3つに関しては本当に好みの問題だし、さらにいえばそのときの体調や気分の問題でもあるのでどれがいいなどとは全く言えない。 それでも1本だけ選べと言われたらLibertouchだろうけれども…

なお、なくなる可能性が高いのは第一にUltra Classicで、Libertouchはなくならないと思っていたのだが、思わぬ形でなくなる可能性があることを示されてしまった。 RealForceは超人気キーボードなので当面はあるだろう。 キーボードはコストダウンの対象になって多様性というか、コストのかかるキーボードはどんどん失われていっているので、極上の打ち心地のキーボードは入手できるうちに入手しておかないと後悔することになる。 実際、私はUltra Classicは2枚持っているし。

LibertouchやRealForceは上質さに関して言えば比べるべくもないのだけど、フィーリング自体は市販パソコンに付属しているような(ぺらくないほうの)メンブレンキーボードとそこまでの大差はないので、「せっかく買うんだから特徴的な、高級キーボードでしか味わえないフィーリングが欲しい」と思うのであれば断然Ultra Classicだ。 Ultra Classic自体の製造は続いても(アメリカでも結構人気だから、事故がなければそう簡単になくならないと思う)日本語配列はダイアテックが作らせているだけなのでいつなくなってもおかしくないし。

余談。 LibertouchやRealForceの価値とは

LibertouchとかRealForceって、めちゃくちゃ打つ人のためのキーボードだと思う。 値段のこともあるけれど、その良さが尋常じゃない量を打たないことにはわからない。実際、私も打ち始め数分に関しては出来のいいメンブレンキーボード(FKB8811とか。いや、8811は安くもないけど)とそんなに差を感じない。もちろん、違いはわかるけれども、それはあくまで知っているからであって、FKB8811とかHHKB Liteとかと比べてこのキーボードでなければダメなんだと感じるのはちょっと難しい。

逆に短時間打つときは私はメカニカルキーボードのほうがフィーリング良く打てる。 緑軸もいいし、ゴムダンパーつきのG710なんかもすごくいいと思う。

ただ、それで何万文字も打つとなるとちょっと辛い。MATEのキーボードなんかも疲れにくいようにはなっているけれども、あれも何万文字も打つキーボードではない。

もちろん、誰にとっても上質で楽しいキーボードであることは分かるのだけれど、 生産量の多い物書きにとってはLibertouchやRealForceは「それでなければ困る」レベルの道具だ。

だいたい安いものなら1000円くらいで買えるキーボードに2万3万出すわけで、あんまり使わない人はちょっと受ける恩恵が少なすぎる。 一方、ものすごく打つ人にとっては、例え直感的なフィーリングは安いメンブレンキーボードと決定的には違わなくても道具としては決定的に違う、というかこれでなければダメなのだ。

物書きでMajestouchを使っている人は実は結構いるのだけど、MajestouchからRealForceにきたという人は結構多くて、こうした人は「より良い」というよりは「これでなければダメ」と感じている人が多い気がする。 メカニカルがダメなわけではないのだけど、物書きの要求にはちょっと応えきれない。「ALPS緑軸黒接点」みたいなのが今もあれば物書き用スペシャルキーボードとしてのメカニカルキーボードというものがあったかもしれないけれど、今はメカニカルキーボードはどちらかといえば「ちょっと上質なキーボード」もしくは「ゲーマー用」という感じだ。

Ultra Classicも物書きとしてはややしんどいキーボードだ。 一方すぐにテンションの上がるフィーリングだから、そんなに触らない人でもすぐ価値は感じられるし、エンジニアなんかは好きなフィーリングなんじゃないかなと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください