Telegram

TelegramはLINEのようなメッセンジャーアプリの一種。

本拠になっているのはドイツの非営利企業Telegram Messanger LLP。 創設者はロシア最大のSNS “VK” を立ち上げたニコライ・ドゥーロフ/パーヴェル兄妹。 VKとの直接の関係はない。

セキュリティをウリにしており、オープンセキュリティコンテストにより、脆弱性を発見したユーザーに報奨金を送る制度を持っている。 (ただし、これは実際にはセキュリティ上の根拠がないという指摘もある) EFFの審査でも安全性は高評価である。

すべてのメッセージはMTProtoによって暗号化される。 また、公式クライアントはオープンソース化されており、将来的にはサーバーもオープンソース化するつもりであるとしている。

基本的にはWhatsappのような電話拡張型だ。というか、Whatsapp対抗だ。 つまり、

  • 通話ができるよ。無料だよ
  • SMSより便利だよ。無料だよ

ということである。 基本的には電話機能に組み込もうとするし、電話帳とのリンクは行うのが原則である。

アカウントも電話番号を前提としたもので電話番号に紐づく。

日本ではWhatsappが流行っていないことから、火を見るより明らかに日本では流行らない。 日本語がない、というのもそれに拍車をかけている。Slackも日本語に対応していなかった頃は嫌がられたからね。

Telegramのウリはセキュアであることで、頻繁に「こんなのセキュアじゃない」と叩かれたりするけれど、 それもちゃんとオープンだからこその話で、相対的に見ればセキュア。

Telegramの今

電話番号

さてさて、あなたは

「電話番号でアカウントを作ります。電話番号と名前で相手を検索します。電話番号は相手に公開されます」

といったらどう思うだろうか。

世界的に言えば「え、普通でしょ」なのだが、日本では絶対受け入れられないやつである。私も嫌だ。

これがTelegram最大のネックだったのだが、いつの間にやら “Privacy and Securiry” の設定項目で 見せなくできるようになっている

これを使うと、「電話ベース…」というげんなり感が解消される。 素晴らしい。

ユーザーは、Usernameを設定している場合、@で始めることでユーザー名で検索できるようになった。 正確に一致していなくても検索候補には出るので、スパムや勧誘を気にする必要がある。 ユーザー名を消してしまえば部分一致には出なくなるようだ。

ユーザー名を公開するか、電話番号で扱うかの2択、ということになる。 電話番号の場合は完全一致が必要で、検索結果の候補には出てこない。

ちなみに、登録時に戸惑う人がいるかもしれないが、Telegramの電話番号はローカルという概念がないので、国別コードが必要。 これは例えば090で始まる番号は+81 90 ...になるということなのだが(0で始まる電話番号は「この国のローカルの」である)、これを知らない人は多いと思うので戸惑うかもしれない。

チャット

とても良い。

設定が細かくできることと、通知が優秀なことが大きいが、チャット自体の使いやすさもLINEよりだいぶ上。 LINEよりコンパクトに表示されるし、フォントサイズも設定可能なのが大きい。

通知に

  • REPLY TO … (返信する)
  • MARK AS READ (既読をつける)

の選択肢があるのもまた良い。

通知がすごく優秀で、ずっと優秀だったLINEも最近はあんまり通知してくれず気づかないことが多いが、 Telegramは完璧である。端末がディープスリープ下でもしっかり通知してくれる。Discordより良い。

メッセージ送達は数秒から十数秒程度でかなり速い部類に入る。

Stickers(スタンプ)は非常に「洋物」という感じだが、自作してしまえば良い。

LINEも最近は「音声メッセージを送る」ということができるようになっている。 みんなあまりつかってないけど、私は結構活用してる。

Telegramにも同様の機能があり、それだけでなく動画で送信することもできる。

ただし、音声同様、その場で録画して送るだけの機能だ。 この手の機能、インスタなのか、若い子が使っているのを割と見るので、需要あるのでは。

通話

通話品質は私が知るすべてのアプリの中でもっとも良い。

P2P通話にするかどうかは別に選べるのだが、 P2P通話の場合、エンドツーエンドで暗号化され、盗聴できなくなる。

非常に安定していて、ポイントが高いのは、Linuxデスクトップ版でも安定していることだ。

Linuxでの通話はいくらか不安定に感じられることが多い。LINEに至っては通話自体できない。 だが、Linux上での通話品質ならTelegramは圧倒的に優れている。

Linux上でということだと恐らく最も良いのはGoogle Hangoutsだと思う。 だが、Hangoutsでも「音声が突如聞こえなくなる」というようなことがままある。 その症状はSkypeだとより出る。

Discordは非常に音質が良いが、環境によっては音声が切れ切れに聴こえるということがあるようだ。 だから1:1での通話にはあまり向いていない。

LINEに関してはそもそも通話の音質自体がよくない。 そして、安定性も低く、音が切れたり、通話が切れたりよくする。

こうした点でTelegramは最も安定しており、最もではないが音質も良い。

ただ、ビデオ通話はできない。 とはいえ、これもちょっとおもしろいトリックがある。

通話は実は暗号化されたデータストリームであり、暗号化はエンドツーエンドで行われる。 そして、Telegramの仕様はオープンになっている。 このことから、データストリームにビデオを載せてしまうテクニックがあり、非公式のクライアント同士であればビデオ通話できたりする。

シークレットチャットの使いどころ

シークレットチャットに関しては、基本的に「エンドツーエンド暗号化されているから、覗かれる心配がなく、他端末からは見えない」というのが特徴である。

私だと、「PCはデモで画面を見せるから、プライベートなチャットは見せたくないな」という考えでシークレットチャットにするようなこともできるけれど、実際そのようなケースはあまりないと思う。 もちろん、「Telegram運営から隠す」という意図は成立するだろうけれども。例えば住所みたいなプライベートな情報を送るときとか。

ただ、シークレットチャットは基本的には「自爆タイマー」をオンにして使うものだと思う。これは、1-15秒の1秒刻みと、30秒、1分、1時間、1日、1週間で設定できるようになっている。 自爆タイマーの起動タイミングは「送信者が既読マークを受け取ってから」なので、実際は1秒にしてもがんばれば読めるくらいの時間はある。 また、相手が見ないうちに消えてしまうということはない。

自爆タイマーは両者共有される。

あとはちょっと見せるだけの写真を送るときとか。

コンタクト検索には注意

Usernameを設定しているとグローバルに検索されてしまうし、Telegramに位置情報を使わせていると近くの人にコンタクト追加されてしまったりする。 こういう設定は(Skypeとかでもそうだけど)ナンパ被害にあいやすいので注意が必要。

コンタクトに追加されたときは追加、ブロックが選べるのだが、 グループへの追加をEverybodyにしてるといきなりグループに追加されてしまうし、 通話をEverybodyにしてるといきなり通話をかけられてしまうので要注意。 ちゃんと設定はしましょう。

モダンなセキュリティ設計

電話番号ベース、SMS認証というのは非常にモダンなセキュリティ。

パスワードを廃止するテクニックのひとつで、端末を操作可能であることを条件とする。 この使い心地はなかなかで、アカウントには電話番号を使うのでアカウント名もない。

パスワードを伴うことを強制することもできる。

…英語で!!

言語機能はあるが、日本語がない。

英語でがんばろう。

Telegramの機能・設定

通知

超優秀な通知設定は、

  • 個人間のチャット
  • グループ
  • チャンネル
  • コンタクトに追加されたとき
  • メッセージがピン留めされたとき

の5種類の有効無効が設定可能。

通話呼び出し時に関してはバイブとサウンドは別々に設定でき、サウンドは任意に選べる。

アプリ内通知に関しても

  • 音声
  • バイブ
  • プレビュー (メッセージ内容の表示)

の3つが設定でき、またチャット中の相手から受け取ったときに音を鳴らすかどうかも選べる。

通知の優先度が高いimportanceも設定可能。

グループ、チャンネル、ユーザー個別のミュートも可能。 これはLINEのグループで悩まされている人にはとても嬉しいだろう。

そして、LINEのグループで悩まされている人にはもっと嬉しいであろう、 「未読数バッジの設定」がある。これについて「ミュートしているチャットは除外する」というのがあるのだ。

既読

「送達済み」と「既読」の2つのマークがつくというXMPPと同じ仕様。 既読がつかないようにはできない。

ブロック

ブロックは簡単で、ブロックの解除も可能。

電話番号の可視性

基本的にはWhatapp同様、電話番号ベース、電話拡張アプリになっている。

通常、コンタクトに登録した相手には電話番号が見えるが、 見せないようにもできるようになった

個別にも設定できる。

ただ、既にプロフィールで電話番号を確認した相手からは設定を変更しても消えない模様。

オンラインステータス

スマートフォン向けのメッセンジャーアプリにはなく、PCのメッセンジャーソフト(例えばICQやMSNメッセンジャー)には伝統的にあるオンライン表示機能。 といっても、DiscordやXMPPアプリ、Slackなんかにはあるし、Whatsappにもある。「LINEにない」のが大きいだろうか。 ちなみに、LINEだけじゃなく、カカオトークにもないし、Commにもなかった。

Telegramにはオンラインステータス、及びLast seen(最後に使用したとき)が表示される。 範囲を限定することも、個別に指定することもできる。

アイコン

アイコンは自由に設定可能。可視範囲も設定できる。

メッセージの転送

別の人にメッセージを転送する機能がある。

この転送は禁止することもできる。 転送禁止はスクショに対しても効く。つまり、スクショで晒すこともできなくなる。

通話

通話機能があり、非常に安定している。

通話の許可/拒否は範囲も、個別にも設定可能。 ビデオチャットはない。

また、通話でデータ量の削減を行うことも可能。

グループチャット

グループチャットは普通に使える。

許可/拒否設定があるが、“Everybody”, “My Contacts”だけで、(個別設定はできるが)一切拒否というのはできない。 もっとも、グループへの追加の完全な拒否ができないのは珍しくもないが。

ちなみに、追加は問答無用で行われ、拒否もできない。

グループ人数の上限はなんと 200,000 であり、単なるグループにとどまらず、コミュニティとしても利用できる。

チャンネル

チャンネルは配信用で、LINEでいうとLINE@やLINE公式アカウントと似たもの。 グループと同じ感覚で作れる。

ただし、チャンネルとLINE@の違いとして「配信専用」であるということが挙げられる。 つまり、告知に使える、メールマガジンと同じような位置づけのものであり、ユーザーからの問い合わせには使えない。そもそもユーザーがメッセージを送信することができないから、個別応答もできない。

それではLINE@のように使えないと思うかもしれないが、恐らくその心配はあまりない。 ほぼ単純に事業用の電話番号でTelegramアカウントを取れば良い。 LINEと違い、単一の端末で複数のアカウントを扱うことができるし、通常のTelegramアカウントでAPIを使ってbotを動作させることができるため、LINE@でしたいことは通常のTelegramアカウントでできるはずだ。

困るのは、ひとつの電話番号しか持っていない人がLINE@アカウントを作りたい場合だろうが、そのようなケースはあまり一般的ではなさそうだ。

メッセージの削除

なんと、相手のメッセージも削除可能。ローカルに消すことも、相手からも消すこともできる。

シークレットチャット

  • エンドツーエンドで暗号化される
  • Telegramのサーバーから見えなくなる
  • 自動消去タイマーが利用可能
  • 転送できない。 スクショもできなくなる

盗聴できないだけでなく、端末間で暗号化されているから端末をまたいで見ることもできない。 PC版からは使えない。

メッセージ消去は常に両者で共有される。

データコントロール

自動メディアダウンロードに関しては、「モバイル通信時」「WiFi時」「ローミング時」それぞれに指定でき、アニメーションGIF, ビデオは自動再生も設定可能。

クイック応答

電話に応答できないときに4種類、ワンタップでメッセージを返すことができるようになっている。

音声トークがあるため、留守電機能はない。

プロキシ

Socks5とMTProtoによるプロキシが利用可能。

まず見かけない設定だが、非常に強力。 ただ、通信自体が制限されている場合を除けば必要性は微妙。

テーマデザイン

色のパターンは選択できるだけでなく、独自に編集することも可能。

背景に画像を設定することもでき、器用にも「画像をぼかす」こともできる。

コンタクトごとに変える、ということはできない。

フォントサイズが自由に変えられる というのは嬉しい人も多いのではないだろうか。

あと、デスクトップ版は絵文字デザインが

  • Mac
  • Android
  • Twitter
  • EmojiOne

から選べたりする。

このあたりの設定は非常に細かくできる。

in app browser

LINEの内蔵ブラウザはセキュリティ上 すごく重大な 問題があるのだけど、内蔵ブラウザで開くかどうかというのはリンクアドレスそのもので指定するしかなく、任意には選べない。

Telegramではそもそもin app browserで開くかどうかを設定で選択可能。

スタンプ

英語で言うとStickers。

すごく簡単に自作できる。共有することになるけれど、アドレスを公開しなければまぁ見られることは多分ない。

その手順はbotに話しかけながら画像を送信するというお手軽さ。ただし、英語ができないとキツイかも。

言語

  • English
  • Arabic
  • Catalan
  • Dutch
  • French
  • German
  • Indonesian
  • Italian
  • Korean
  • Malay
  • Persian
  • Portuguese (Brazil)
  • Russian
  • Spanish
  • Turkish
  • Ukrainian

はい、日本語はない。

あと、韓国語があるのに中国語はない。珍しい。

パスコードロック

パスコードは4桁固定。 指紋認証も使うことができる。

ロックは「ロックボタンを押してからアプリを離れたら」かかるようになっている。 また、自動ロックをオンにしていると、その時間離れていると自動的にかかる。

なお、LINEのように完璧にブロックするわけではなく、コンタクトリストは短時間だが見えてしまうので、 浮気を隠す目的には使えない。

2段階認証

通常、新しいデバイスでログインするときはSMSで送られてくるパスコードを入力することになるのだが、 そのパスコードに加えて別途パスワードを入力するようにもできる。

コンタクトの共有

LINEはアカウントを作った瞬間に電話帳をアップロードしようとするやつだが、 Telegramの場合、電話帳の利用を許可したとしてもサーバーと共有するかは別に設定できる。

アカウントの自動削除

一定期間利用がないとアカウントを消すようにできる。

「もし私がいなくなったら…」の機能である。

望まれることが多い機能だが、どちらかというとSNSで欲しいんじゃないだろうかと思ったりする。

お気に入り

Saved Messageという専用チャンネルがあり、そこにメッセージを転送するとそのメッセージがクラウド上に保存される。

ちなみに、転送メッセージはワンタップで転送元のメッセージに移動できる親切設計。

マルチアカウント

LINEは「かならずモバイルは1端末である」という制約を課しているが、Telegramの場合特にそのような制約はなく、1つのアカウントを任意のデバイスで共有できる。

それだけでなく、1つの端末で複数アカウントを切り替えることもできる。 電話番号が必要なので無軌道にアカウントを増やせるわけではないが、DSDSのようなSIMカードが複数使える端末を使っている人には嬉しい仕様だろう。

Finally

問題点を挙げるとすれば

  • 英語
  • かわいいスタンプがない
  • かわいいテーマデザインがない

というところだと思うのだけど、いずれも基本的には努力と手間でなんとかなる。

テーマデザインはLINEのようなデザイン性はないけど、そもそもUIが不要なものを表示しない合理的なものなので、そういうデザインをねじ込む場所自体ない。

とにかく使い勝手が良いし、LINEよりもずっとずっと安心して使えるので、多分今最もお勧めできるメッセンジャーアプリだと思う。

ただ、唯一ビデオ通話ができないことだけがいかんともしがたい問題。通話をP2Pで処理できるようになっているのだからビデオ通話を追加することはそれほど難しくないと思うのだけど、ビデオ通話を追加する意思はなさそうだ。 ビデオ通話に適したアプリというのはとてもむずかしくて、私としても困っている。

Skypeもすっかりデスクトップの使い心地を捨て去った中、デスクトップアプリの使い勝手が良いのもポイント。 モバイル版にはない点として、メディアを一覧する機能があり、特にSaves Messagesではギャラリーのように使える。

多分、私がここでこんなことを言ったところでLINEから乗り換えようという人はほぼいないと思うのだけど、すごく正当なメッセンジャーという感じでいいと思う。 ぜひこういうのこそ主流になってほしい。LINEは最近余計なことをしまくっているし、見たくもない芸能ニュースを強制してくるし。

しかしちょっと思うのは、LINEって余計なものだらけですごく使いにくいUIをしているのに、慣れのせいなのか割と愛嬌のあるUIだと感じるし、Telegramは味気なさを感じてしまう。 もしかしたらこういうのは大事な要素なのかもしれない。

とはいえ、使い勝手は比べ物にならないほどTelegramが良いので、LINEの使いにくさや鬱陶しさに困っている人、 LINEを信用できないという人は使ってみたらどうだろうか。

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