Vivaldiが誕生し、それが良好であることが認められてから随分たち、スマートフォンバージョンは長く待望されていた。

そして、「今αより前のバージョンを試しているところだ」という報告があってから2年だか3年だか。 ついにAndroidバージョンが登場した。

デスクトップアプリとして最適化され、非常に高機能になっているVivaldi。 それをスマートフォンでどこまで活かせるかがポイントだった。

長所・特徴

扱いやすいブックマーク

ナビゲーションボタンにブックマークボタンがあり、動作も非常に早く、アクセスしやすい。

「スマートフォンにブックマークは不要」という考え方が主流で、まともなブックマーク機能をもったブラウザがない中、これはとても嬉しい。 下方へスクロールしている最中はナビゲーションボタン、アドレスバーともに見えなくなる構造。 非常に読みやすい。

なお、全画面表示設定はなく、オンスクリーンナビゲーションが原則として表示される端末の場合、デバイスナビゲーションを非表示にすることはできない。

文字サイズ

私にとっては待望と言えるのが「文字サイズの変更」である。

一般的にモバイルアプリのウェブブラウザでは文字サイズを変更したり、フォントファミリを変更したりすることはできない。 「ズームできるんだからいいじゃないか」という考え方なのだが、ズームだとUI全体が拡大され、デバイスから表示がはみ出すことになり、可読性が著しく低下する。 この問題はコンテンツ幅を指定していない、つまり「なり」で表示している場合でも適用され、「レンダリングしたものを拡大しているだけ」であるため、問題としてほぼ解決にならない。

実は昔はPCでのブラウザの拡大がそのような扱いであり、ユーザーによってUIを調整することが難しかった。 現在はPCブラウザでの拡大はスケーリング扱いになるため、レスポンシブデザインになっていればなんの問題もなく表示できる。 それがモバイルでは同じ過ちを繰り返している状態だ。

Vivaldi Androidは文字サイズを独立して変更することができる。 拡大縮小が簡単なVivaldiブラウザの特徴を引き継いでいるということだろうか。

PC表示

ほとんどのブラウザの「PC版表示」はdevice widthを無視する動作である。つまり、問答無用ではみ出す動作をする。

Vivaldi Androidではdevice widthをdot by dotにする。つまり、スケール1にする。 例えばFHDの端末であればdevice widthは実際には1080pxなのだが、スケール2になっていれば540pxしかない扱いになる。その分2倍に拡大される。 それをやめて、スケール1として扱うのでdevice widthが1080pxであるとする。結果的に「表示自体は小さいが、ちゃんと幅が収まる」状態になる。

どのみちズームはできるわけだから、これは望ましい挙動であるはずだ。 2層目のボタン一発なのも嬉しい。

カラーテーマ

デスクトップ版のように自由自在というわけではないが、ライトモードとダークモードが選択可能。

ただし、 自動ではダークモードがバッテリーセイバー有効時に有効になるという仕様には若干問題があるかもしれない

OLED(有機EL)の場合、黒は消費電力に有効である。 ところが、TN液晶だと黒は最も消費電力が大きい。まぁ、イマドキTN液晶なスマートフォンはないと思うが、VA/IPS液晶でも黒は気持ち省エネなだけである。

「ダークモードは省電力」という誤った認識を招くかもしれない。

リーダーモード

全く使われていないが、リーダーモードを搭載しているし、その扱いもちょっと特徴的だ。

他のブラウザはアドレスバーのわかりづらいところにアイコンを出すようになっている。 常にリーダーモードが使えるわけではないため、これはほとんどの人が気づかない。

Vivaldi Androidでは、設定で有効にするとリーダーモードにできるページでは「リーダーで表示するか?」と聞いてくる。 「常に使えるわけではないから、そもそも使えるかどうか気づきにくい」「使う人は望むが、使わない人は全く使わない」という点から考えると非常に合理的。

また、リーダーモードに3種類のページカラーテーマがあり、フォントもSans Serif, Serif, Monospaceで選択可能。 ただし、日本語Serifの載っている端末は非常に稀だろうけれども。

文字エンコーディング

PC版ブラウザからも消えつつある文字エンコーディング設定。

Vivaldiのデスクトップ版にも存在していないのだが、Androidには存在する。 日本語の古いページが読めなくなりつつあるので、とても嬉しい。

ダウンロードマネージャ

Androidでは割と省略されがちなダウンロードマネージャ搭載。

タブ機能

タブスタッキングやタイリングができるVivaldiだが、そのような機能は搭載されていない。

ただし、タブマネジメントそのものは他のブラウザと比べてやりやすい。 ブックマークだけでなく閉じたタブの復元などデスクトップVivaldiユーザーであれば「わかっている」であろう様々な機能はうまく移植されている。

ページ内検索

まともにページ内検索が載ってなくて困るブラウザが多いので、これは嬉しい。

ページキャプチャ

Vivaldiらしい機能として搭載される、Webページ全体のスクリーンキャプチャ機能。 スマートフォンだとこれは非常に便利。

なお、他のブラウザ同様にページを保存する機能はない。

検索エンジン

デフォルトはBingで、ほとんどのブラウザがGoogle固定である中、選択可能になっている。 アドレスバーから簡単に都度選択できるのもデスクトップ版同様。

ただし、追加はできないし、編集もできない。 Googleはgoogle.comになっているので、google.co.jpでの検索ができない。

ログインと補完

Vivaldiアカウントによる同期に対応。

パスワード、住所、クレジットカードの補完が可能で、それなりに柔軟にできるようになっているが、これらはそもそも精度がいまひとつであることから実用性はいまひとつ。 有効無効は設定できる。

問題点

プライバシーの設定には問題があるように感じる。

デフォルトの検索エンジンがBingなのだが、プライバシーや権限に関する設定が、Bingを例外として許可するようになっており、一部は変更できない。 これはBingをデフォルト検索エンジンから外すことで解除できるが、やや問題があるように感じる。

それ以外にもプライバシーに関するデフォルト設定が甘く、まるでWindowsのデフォルト設定のように「たくさんの項目を防衛的に変更する必要がある」状態である。 これは嬉しくない。

デフォルトで入っているスピードダイヤルのブックマーク数が多すぎるというのも問題であるように感じる。 もちろん、Vivaldiがスポンサーによって成り立っているという点を考えればスピードダイアルくらいは我慢して当然なのかもしれないが。

また、Vivladiユーザーであれば期待するであろう、デスクトップに最適化された様々な機能と、拡張機能いらずのカスタマイズ性は搭載されていない。 「Vivaldiらしさ」をそこに見出しているのであれば、Vivaldi Androidは肩透かしかもしれない。

総括

まず、ようやくVivaldiがAndroidにきたこと、「信頼できる、デフォルトにできるブラウザ」が誕生したことを歓びたいと思う。 「Chromeが最適だがChromeは使いたくない」という私にとっては吉報だ。現在はFirefox Focus/Firefoxを使っているが、Vivaldiがあるのであれば今後はメインで使っていくことになるだろう。

また、モバイルアプリにありがちな、ナビゲーションの劣悪さや機能の致命的不足がなく、サクサク使えるようになっている点は好ましい。

ただ、差別化という点ではやや厳しくも感じた。 特徴に乏しく、こだわりがない人がChromeから乗り換えようというモチベーションには恐らくならない。 結局一番欲しかったユーザープロファイル機能も搭載されなかった。

だが、この方向性が間違っているとも思わないので、ぜひがんばって欲しい。

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